今年の確定申告では、市区町村役場が処理をした方法が本来とは違っていて税務署に確認を取ったということがありました。
私がどのような対応を取ったのかについて書いてみたいと思います。
【事務所お知らせ】「鳥獣駆除報償金」の取り扱い
個人事業主の方で鳥獣捕獲を副業でされている方がいます。
鳥獣捕獲に従事しますと市区町村役場から報奨金を受け取ります。
雇用契約を結んでいるわけではないので一般的には給与所得ではなく雑所得や事業所得の雑収入に計上することが多いと思われます。
必要経費には鳥獣捕獲に必要な銃や球・縄の購入代や銃の練習代、猟犬にかかる費用などが含まれます。
給与ではありませんので、市区町村が報奨金を支払う際に所得税を天引き(源泉徴収)することはない、というのが本来の取り扱いです。
支給明細書に「給与・乙欄」で源泉徴収されていた
お住まいの市区町村役場から令和5年に入って支給明細書が送付されてきました。
それを見ると、なぜか報奨金支払い時に源泉徴収されています。
支払った金額から源泉徴収税額表に当てはめてみますと、「乙欄で源泉徴収」されているのがわかりました。
そこで、こちらから市区町村役場に連絡を取ってみたところ担当者からこう告げられました。
- 今回報奨金を支払うにあたって事前に税務署に相談に行っている
- 税務署に相談したのだから正しい処理をしていると思っている
と。
うーん、話がよくわからなかったのと担当者もそう言われたの一点張りでしたので、いったん電話を切って税務署に連絡をしてみました。
税務署の担当者に当時のことを確認いただくと、
- 役所の担当者が数名でお見えになり報奨金を支払う際に源泉徴収をするかどうかの話になった
- 税務署側としては源泉徴収をする報酬にあたらないので源泉徴収しなくていいと回答した
- しかし、その後役所から連絡があり議会で給与・乙欄で源泉徴収することに決まったと。税務署側としてはもし報奨金を受け取る方に迷惑がかかることがあれば適切に対応するように役所にお伝えした
ということでした。
私が取った対応方法
報奨金の支払いを給与・乙欄で源泉徴収したことには違和感を感じますし、昨年まではその支払額を収入計上していました。
私は税務署側にこう伝えました。
- 給与の源泉徴収票が発行されているが内容は報奨金であり昨年と同じように雑収入として計上をする
- 必要経費として銃や球の購入代や銃の練習代などを計上すること
- その内容と「今回税務署側から〇月×日税務署担当者△△氏から回答を得た」ということを青色申告決算書に記入して提出すること
結果として、税務署側の了解を得ることができました。
具体的には、青色申告決算書3ページにある「本年中における特殊事情」欄に記入(入力)をしておきました。
「本年中における特殊事情」を活用する
今回ご紹介した内容こそまさに青色申告決算書の「本年中における特殊事情」を活用する事例かなと考えます。
毎年行っている処理とは違うことを市区町村役場側がしてきているわけですがら、決算書を作成する側に影響が出てきますよね。
市区町村役場側の処理に合わせるのであれば、報奨金を給与収入で計上して事業の必要経費は入れられないわけです。
果たしてどちらがお得なのかというと副業でやっている程度ですから給与のほうがいいのかもしれません。
しかし、本来の取り扱いを考えるとしっくりこなかったんです。
税務署側に確認するとやはり提出されるときにどこかに明示をしておいてほしいと。
そうなると、「本年中における特殊事情」に書いて提出すれば意思表示をしたことになりますね。
まとめ
今年は青色申告決算書の「本年中における特殊事情」に入力して電子提出しましたが来年も同じような流れになるのかなと思います。
毎年入力をするといっても今年作った文書をコピペすればなんとかなります。
今回のような例はイレギュラーかと思います。
もし先方が違う処理をしてきた場合にこちらが取った対応方法をこちらの欄に入力をすると税務署側もわかってもらえるのかなと感じます。
では。