今回は一人親方の税務調査事情について書いてみたいと思います。
一人親方はほかの個人事業主の方と比べて税務調査が入られやすいとされています。
いったいなぜなのでしょうか?
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一人親方の税務調査
一人親方は、個人事業主の中にある人で、
- 個人タクシー業者、個人貨物運送業者
- 大工、左官、とび職人などの建設事業者
- 水産業
- 林業
- 廃棄物処理
- 医薬品の配置販売
- 船員が行う事業
に業種が限定されており、従業員を雇わず(年間100日未満の従業員を雇用なら大丈夫です)に活動していることが条件となっています。
個人事業主の税務調査で確認されるのは、大きく分けて所得税・消費税・源泉所得税(印紙税を含む)とされており、税務署の個人課税部門が主に担当をしています。
一人親方の税務調査も同じで、税務署の個人課税部門が担当をしています。
一人親方が作成した決算書や確定申告書、それらを作成するもととなった領収書や請求書などの証拠資料を確認していくのが一般的な流れです。
申告もれ所得が高額な上位10業種
毎年国税庁や各国税局では、事業所得がある事業者の申告もれ所得が高額な上位10業種を公表しています。
税務署ではもちろん申告もれを見つけて税収を確保したいわけですから、実績が出ている業種を選んで調査を行うことは必然的な流れです。
今回は令和5年11月に公表された令和4年事務年度のデータを参考に掲載しますけど、ここで注目したいのは一人親方が多いという事実です。
赤い枠で囲った業種が一人親方にあてはまりそうです(少なくとも〇〇工事は一人親方です)。
毎年10業種のうち4~5業種は一人親方がランクインしている状況ですのでデータ上でも一人親方が税務調査先として選ばれやすいことがわかります。
なぜ狙われるの?
では、いったいなぜ一人親方が税務調査で狙われるのでしょうか?
私なりに分析してみました。
書類管理がずさんだと思われている
私が税務署にいたころから言われていることですけど、一人親方(特に建設業を営む方)の書類管理がずさんであることが挙げられます。
例えば、経費として計上した証拠の領収書や請求書を捨ててしまったとか、相手に渡すはずの請求書のやり取りの事実がないとかですね。
領収書を勝手に書き換えて経費を水増しするということもよく行われているので、不正が行われやすい業種だと税務署側も注目していると思われます。
同業者意識が強い
同じ同業者である一人親方の行動に合わせてしまうこともあります。
一番危ないのは同業者である一人親方との間の取引ですね。
気心の知れた仲だからといって書類のやり取りをしないとか。
同業者と一緒になって不正行為を行ってしまうこともあります。
その聞き入れた情報を信用してしまうということも。
実際お聞きしたのは、経費の家事按分を適当に行っていることがありました。
「この割合だったら税務署にバレないと聞いた」とおっしゃる一人親方がいましたので。
同業者から得られる情報よりもやっぱり専門家に相談してもらったほうが確実です。
お伝えしたいのは、一人親方がみんな同じ取引をしているわけではないということです。
「うちはこう処理したから大丈夫」とはならないということです。
本業に追われる
一人親方は、自分が経営者であるとともに労働者の側面もあります。
工事業の場合には、自分が現場に出向き安全を確認しながら労働をするわけです。
その際、万が一仕事中にケガをしたり病気になることだってありえますよね。
一般的は労災保険に特別加入をするわけですけど、その手続きを行う必要があります。
現場をしつつ確定申告書作成をしたり書類整理をするー。
本業でお疲れなのに作業をする時間がないから「適当でいいや~」なんて考えてしまいそうです。
「こまめな経理をやってください」と記帳指導の場ではお話させていただきますけど、まとめて経理をしてしまっている方が大変多いです。
これはある意味税務署側としてはおいしい案件になります。
なぜなら、経理がきちんとできていないということは誤りを放置している・さらには不正だと気づかずに不正をしてしまっているという可能性もあるわけです。
そういう仕事の忙しさゆえ経理がずさんな状況なのも税務署側はわかっているのかもしれませんね。
まとめ
今回は、一人親方が税務調査で狙われやすい理由を私なりに分析してみました。
結局、一人親方の仕事の仕方いかんでそれが雑になることもあればきちんとできることもあります。
もし本業があまりに忙しいとか、書類管理が苦手で手伝ってほしい場合には税理士に相談されることをおススメします。
では。