12月の年金支給日に、年金の振込額がいつもより多いと感じる方がいるかもしれません。
これは、12月の年金支払い時に所得税の精算が行われるためです。
今回は、その仕組みと受け取る方にどのような影響があるのかを書いてみたいと思います。
所得税の基礎控除額が引き上げられました
税制改正で基礎控除が引き上げられたことに伴い、公的年金から源泉徴収される所得税の計算に使う「基礎的控除額」も引き上げられました。
その結果、所得税が源泉徴収されない年金額の基準が次のように変わりました。
- 65歳以上:205万円未満 → 214万円未満
- 65歳未満:155万円未満 → 164万円未満
令和8年12月の精算時に使う基礎的控除額は「公的年金等の月割額×25%+110,000円」です。
この金額が下限を下回る場合は、65歳以上は180,000円・65歳未満は140,000円になります。
【事務所お知らせ】
令和8年分は12月の年金支払い時にまとめて精算
令和8年分の所得税は、11月の年金支払い(2月・4月・6月・8月・10月支給分)までは、改正前の基礎的控除額で源泉徴収されています。
12月の年金支払い時に、改正後の基礎的控除額で1年分の税額を計算し直し、すでに源泉徴収された税額との差額を精算します。
これは令和7年分と同じ仕組みです。
昨年も12月の年金で精算が行われたので、覚えている方もいるのではないでしょうか?
所得税が還付になる人が多い
基礎的控除額が増えると、1年分の所得税額は少なくなります。
そのため、2月から10月までに源泉徴収された税額が多すぎる状態になり、その分が12月に還付される人が多くなります。
日本年金機構が示している以下のイメージ図では、次のような流れになっています。

- 2月〜10月の各支払いで6,000円ずつ源泉徴収(うち1,400円ずつが納めすぎ)
- 5回分の納めすぎ:1,400円×5回=7,000円
- 12月支払い分の源泉徴収税額:4,600円
- 差し引き:7,000円−4,600円=2,400円が還付
つまり、12月分の税金と相殺したうえで、残りが年金と一緒に戻ってきます。
12月の振込額が普段より多くなるのはこのためです。
源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円になる人も
来年1月には「公的年金等の源泉徴収票」が届きます。
今回の精算で1年分の所得税額が0円になった方は、それまでに源泉徴収された税金が全額還付されるため、源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄が0円になります。
「税金がかかっていないなら、確定申告はしなくていいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
この点は大切なポイントなので、次回の記事で詳しく取り上げます。
まとめ
今日の内容をまとめます。

- 基礎控除の引き上げにより、公的年金の基礎的控除額も引き上げられた
- 令和8年分は11月支払いまでは改正前の基礎的控除額で源泉徴収され、12月支払い時に精算される(令和7年分と同じ仕組み)
- 納めすぎた所得税が12月の年金と一緒に還付される人が多い
- 1月に届く源泉徴収票の源泉徴収税額が0円になる人も多い
12月の年金振込額が増えていても、これは制度上の精算によるものなので心配はいりません。
届いた年金振込通知書や源泉徴収票の内容を、一度確認してみてください。
では。
