「ほんとにやるの?」現場が混乱する税制改正

毎年年末になると翌年行われる税制改正の大綱が発表されます。

大綱とは骨子のようなもので、税務職員なら仕事に直結する大事なことですのでチェックしています。

しかし、年々増税傾向が続いているのと同時に

「何これ?ほんとにやるの?」

という意味がよく分からない改正があるのも事実です。

現場は冷めていた「軽減税率制度」

消費税の経験税率制度の導入時。

私は納税者と一番よく接する税務署の内部部署にいました。

上位組織である財務省や国税庁から各地にある国税局に指示が来て、末端組織である各地域の税務署へ「こういう法律ができたから」と連絡がきます。

まず職員全員を対象に研修が行われましたが、現場では「これ本当にやるの?」という雰囲気だったのを覚えています。

とにかく曖昧で根拠を突き詰めていこうとしてもよくわからない。

外食とテイクアウトで税率が違う??

一体資産って何?

職員同士で不満を言いつつ、納税者から聞かれたらそれなりに回答しなければなりません。

その後納税者への説明会開催。

その時は担当職員は大変そうにしていました。

法律を決めるのは上部組織である財務省、それを実行するのは下部組織である税務署です。

現場の声を反映していないのが実情です。

税務署の職員が呆れている?(私だけかもしれませんが)税制改正を納税者に説明する苦しさは半端ないものがあります。

その後軽減税率Q&Aが公表されましたがかなりのボリューム。

それを作るくらい複雑な税制になってしまうのはおかしいと思うのです。

税制改正って本当ならもっと簡素にいい方向に改良していくべきだと考えています。

増税になるのは仕方ないことかもしれませんが、複雑化するより簡素化していくことのほうが今は大事な気がするのです。

私の個人的な意見ですけど、年々複雑化していく税制にうんざりしているところです。

研修に来たとある講師(財務省職員)の態度が気になった

源泉所得税事務をしていたときに審理事務を担当していたことがあります。

審理とは、納税者からの相談を解決したり調査官が税務調査で調査した内容の確認や調査官への指導などを行ういわゆる頭脳部署です。

といっても私は審理1年目で知識もなく毎日嫌で仕方ありませんでしたが。。

ある日、国税局に審理担当者が集められて源泉所得税の研修が行われました。

内容は国際課税。

源泉所得税は海外取引、特に非居住者に関する源泉所得税徴収もれが問題視されています。

講師は財務省主税局の職員でした。

主税局はいわば税制を整備する部署。もちろん詳しいわけですよ。

でも研修はというと…。これがまったく理解できなかったんですね。

難しい言葉を次々と並べるだけ。

資料を棒読みするうえ、補足説明が難解。

周りの職員はベテランの方も多くいましたのでご理解されていましたけど私はまったくついていけません。

この時は近年の改正も踏まえた租税条約のお話でしたのでこちらとしては知っておきたい内容でしたが、結局ほとんど理解できずに帰ってきてしまいました。

その職員の態度も気になってしまいました。

「当然みなさんお分かりだと思いますけど」
「私が条文を作ったので」

喋り方が上から目線なんですよね。

端々に自慢も入るような言いっぷりで。

まあ確かにお偉い方なのはよくわかりますけど、ちょっとどうなのかなと。

職員に教えるからこんな感じでいいやって投げやりな態度なのが目についてとても不快だったのを覚えています。

財務省にいる職員がこのような人ばかりでないと思いたいのですが、自分に酔いしれてさらに複雑で難解な税制が生まれないかとても心配になりました。

  • 自分達だけ理解できればそれでいい。
  • 少しでも難解な言葉を使って適用できないようにする。

ちょっとゆがんだ見方をしてしまいそうになります。

複雑化より簡素化を 専門家が不要な改正に

私は今税理士兼社労士として開業していますが、正直ここ近年の税制改正と労働・社会保険・年金の法改正をみると年々難解になってきていると感じます。

国家財源が苦しいのはよくわかります。

でも減税したり増税したりする対象がそこでいいのかがわかりません。

しかも適用するための要件が複雑すぎて素人目にはほぼ適用できないという法律もたたあります。

税制でいう税額控除関係がまさにそうでしょうね。

  • 研究開発費の特別控除
  • 給与等の支給が増加した場合の特別控除
  • 住宅借入金等特別控除  などなど

もちろん税理士・社労士として法改正は大切で、お客様に対して説明する責任はあるかなと思います。

でも複雑にするだけの改正っておかしいなと思っています。

簡素化する方向に改正っていかないのかなっていつも思うんですよね。

改正するとどうしても導入するまでタイムラグが発生します。

経過措置で税率が段階的に上がっていくとか、税率を据え置くとか。

ただその経過措置を導入することで、現場は混乱するわけです。

どう説明するの?

申告書の様式はどうなるの?

まあすぐに税率を引き上げて増税するというのも苦しいんですけどね。

ただ全体的にもっと簡素にしていいんじゃないかなと。分かりやすくして。

私個人的には専門家が要らないくらいの法律になってもいいと思っています。

もちろん極論ですけど、それくらい広く一般的に理解できる税制・法律になってもいいのかなと。

そうなると税理士や社労士になる意味がないと言われそうですが、経理支援やコンサルタント・調査対応などほかの分野でも十分活かせると思うんですね。

まあそんな世の中にはもうならないのかなと半ばあきらめかけてしまっていますけど。

まとめ

今回は税制改正をメインに複雑化する法律に関して私の考えも踏まえて書いてみました。

愚痴っぽくなってすいません。。

とにかく納税者と直接接する税務署のことまで考えていないような気がしていましたね。

今後どうなることやら。

では。

[事務所お知らせ]

編集後記

年金相談研修を受講するにあたって事前にe-Learningをすることになっていて、全10回の確認テストで80点以上の成績を取ってその証明書を社労士会に送付します。

ただ、その確認テストの問題が平成28年から変わっていないようです。

テキストは一応令和版になってはいますが、動画内で案内されているテキスト名や参照すべきページが違っています。

そんなこと書いていたっけ。。そんな内容見当たらない。

またテキストの解説すらありません。毎回2分だけテキストの参照ページの紹介(違っているので使えません)。

私みたいな年金初心者は、テキストに書いてある内容を読むにしてもポイントは解説していただきたいですし、改正も踏まえて実情にあった出題に差し替えてほしいなと。

確認テストは何回でも解くことができますが、問題解説動画も何が正解で不正解が正直曖昧なまま進んでいきます。

私の能力不足が原因なのですが、テキストに載っていないことをいくら出題されても解説してもらえないのはどうなのかなと思います。

まあ、分野ごとに自分で購入したテキストやいただいたパンフレットを参照して確認できるのはいい勉強になりますけど。

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