現金取引が少ない個人事業主は経営が安定している

先日税理士事務所でのお手伝いで農家の方の決算書と申告書を作成していたのですが、税理士のある話が印象に残りました。

それは、現金取引が多くないところは経営が安定しているということ。

この話を聞いて「やっぱりそうだよな」と納得したことを今日は書いてみたいと思います。

JAを通じて購入するのが基本

農業を営んでいると、肥料や農薬を購入するときにはJAを通じて購入するのが一般的です。

JA経由で購入したものは「農業購買」として買掛金処理され、翌月に預金口座から決済されます。

預金通帳にその記録が残ることと、毎月と1年間の取引明細がJAから送付されてくるため、いつ・いくら・何を買ったかをすぐに確認することができます。

取引明細を依頼するにはJAに青色申告支援料を支払う必要があります。
年間で1,200円程度です。

JA以外で購入する場合

ではJA以外で購入する場合はというと、口座振込か現金になります。

諸材料費や修繕費・農具費などその都度必要になるものもありますし、JAで扱っていないものもあるのかもしれません。

先方から請求書が送付されてきて、指定金額を振り込めば預金通帳に記録が残ります。

いつ・いくら送金したかが預金通帳を見れば一目瞭然なわけです。

一方、現金で支払った場合ですと先方から領収書が渡されます。

請求書のほか領収書も受け取ることになりますが、その両方を保管しておかないといつ・いくら支払ったかは分かっても商品の明細までは分かりません。

領収書ではなくレシートを発行される場合もあります。

特にホームセンターで苗を買ったり資材を買ったりする場合はレシートをもらう場合が多いかと思います。

別に領収書を必ずもらう必要はなくてレシートで構わないわけですが、レシートは薄くて幅が狭いので保管が難しいなと感じます。

現金取引が多くなる理由を考えてみる

では農家の方がJA以外に現金取引が多くなる理由を考えてみます。

私が思うには、

  • 口座振込に慣れておらず現金を持ち歩くことが多いこと
  • 買い足しが多い
  • 余計なものを買っている(日用品など)

があげられるかなと。

買い物に行った場合には現金取引がほとんどです。

地元のホームセンターに限りますとキャッシュレス決済を使っている人はあまり見かけません。

現金のみ取り扱いという店も多いです。

あと、作業用の衣服や靴はJA経由ではなく衣料品店で購入したりしますし、畑に出ると外で飲食をするためにコンビニで買い物をしているケースもあります。

それを繰り返すことで本当に必要なものを買っているのかどうか怪しいものが出てくるのは確かです。

レシートが大量にある問題点

お店で買い物をすると領収書はもらわずレシートで済ますことが多いです。

レシートで全然大丈夫ですし、むしろ何を・いつ・いくらで買ったのかが一枚でわかります。

ただそのレシートがかなり多いと整理するのが大変なのかなと思います。

先ほども書きましたけど、レシートは薄いですし幅もせまく、摩擦で金額などが消えてしまうこともあります。

もし毎月のレシートが何十枚もあったとしたらどうでしょうか?

自分でもし経理記帳をしようとしたらまずそのレシートの整理から始めなければなりません。

日付順に並び替えたり、お店ごとにして…。

クリップで止めて、束にして…。

最初の段階でめんどくさい!と思ったりするかもしれません。

こまめに経理記帳されるのであれば苦にならないとは思いますけど、レシートが大量にあることで経理をやるという気力が失われる可能性があります。

また、最大の問題点としては、余計な買い物をしてしまっている可能性があるということ。

JAで買っているもので基本的には大丈夫なはずなのです。

もちろんその店経由で買ったものがいいという場合もありますので否定するつもりはありません。

でも、本当にその店で買う必要があるのかという場合もあります。

ホームセンターで買ってきた諸材料(テープとかマジック、ビニールなど)はすぐ使うのかどうか分からないものもあると思うんですよね。

現金取引が多くなると、余計な出費をしてしまいがちになるのかなと。

レシートが少ない農家は儲かっていた!?

レシートが月に数枚しかない農家の経理記帳していると、利益がかなり出ていること・売上が安定していることがわかってきました。

現金残高って一見確認しやすそうですが、紙幣はまだ数えやすいですけど硬貨が多いと数えるのがめんどくさくてなかなか整理しづらい感じがします。

一方、預金通帳ですと残高は見ればわかります。

つまり、残高を常に把握することができるようになると余計な出費をしなくて済むのです。

レシートが多い=現金取引が多い
ということは
買い足しが多く余計な出費になる。

税理士にそのことを話すと、

経営が安定しているところはレシートは少ないよねと。

納得しました。

まとめ

ただ現金取引がメインの事業主もいらっしゃるかと思いますので、すべての業種に当てはまるものではないと思います。

しかし、考え方として現金取引はできるだけ減らす方法を考えていくのもありだと思います。

キャッシュレス決済を導入するとか、現金取引が多いのなら日々こまめに記帳しておくなど工夫するところはあるのかなと。

一番大事なのは、常に残高を意識できるかどうかです。

では。

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